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後日出頭してきた中野倫子および松原秀明は、事件の全貌を全て供述した。
”犯罪脚本家”、亜土玲治の書いた脚本に彼らは踊らされていた、ただそれだけだったのだ。
十六年前に起きた『幼児連続誘拐殺人事件』、あの事件に布井が関与しているかもしれない、彼らはそう聞かされたのだった。
あの事件で布井が捜査に加わっていたのは、犯人の共犯者であり、協力していたからだ。
筋の通っていない亜土の言い分にもすがりたいほど、二人は精神的に追い詰められていた。
わが子を亡くしたその胸の痛みは、十六年という年月をもってしても、癒すことは出来なかったのだ。
「やるせないな」
いつもの喫茶店でたばこをくわえる湊人と、それを見つめる遊星。
「やるせないって、一体何が?」
遊星は運ばれてきたナポリタンを頬張りながら、湊人に聞き返す。
「いや、何でもないさ」
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