警視庁第十九課 『七人目の大罪人』

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 第十九課の部屋には、電気に照らされて三人の影が浮かび上がっていた。 「さて、まずは十六年前の事件について調べていこうか」 「その必要はないよ。僕が調べておいたよ」  遊星は自分のデスクの引き出しから、分厚い資料の束を取り出す。 「助かる。それで、事件の概要を説明してくれ」 「了解」  遊星が調べたところによると、事件が起きたのは丁度十六年前の春のこと。  ある公園で、幼児が三名誘拐された。  中野(なかの)(わたる)松原(まつばら)綾音(あやね)、そして布井(ぬのい)結菜(ゆうな)。  つまり、中野倫子や布井祐一の息子や娘たちだった。
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