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急に、湊人の上着に入った携帯電話が振動し、湊人は席を立った。
「もしもし、森嶋です。ああ、下谷か。何だ」
最初は相槌を打っていた湊人だが、段々それが少なくなっていく。
そして最後には、一言も発さなくなった。
「ありがとう、知らせてくれて。もう切るぞ。ああ、大丈夫だ。じゃあな」
湊人は電話を切り、悲痛な面持ちで元いた席に戻る。
「電話、小晴ちゃんから? 内容は何だったの」
コーヒーを啜りながら、遊星は怪訝そうな顔で湊人に尋ねる。
湊人は遊星の目をまっすぐ見ながら、ゆっくりと告げた。
「あの事件はまだ、終わっていなかったんだ」
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