恋文

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しばらく休んでから私は教室に戻り、美雨ちゃんの席の前で立ち止まった。 「美雨ちゃん」 「何?」 「ありがと」 「え?」 「美雨ちゃんの言う通り。妄想しかしてなかったから。ちゃんと直接宇田くんに聞いてみる」 「そう・・・。キツく言ってごめんね」 「いいの、おかげで目が覚めたから」 「ほんとはキツく言っちゃったのってちょっとスネたってのもあるんだ」 「え?」 「小説、いつも真っ先に見せてくれたのに今回は宇田に先越されたから。私、ホントに文香の小説のファンだからね。文香の小説、妄想入ってて正直ちょっと笑っちゃうとこもあるけど、出てくる人みんな、まっすぐで一生懸命だから読んでて応援したくなるの」 「美雨ちゃん・・・」 最初ちょっとディスられた気がするけど、嘘じゃないその物言いは素直に受け止める事が出来た。 「宇田の件終わったら、私にも新作読ませてね」 「うん、もちろん」 そうして二人で微笑み合った。
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