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「小説、読んだよ」
宇田くんは、私に小説を手渡しで返してくれた。
「どうだった?」
「うん、すごくいい話で、よかったよ。・・・羨ましいと思った」
「え?」
「言葉にならないほど、愛してる女子も、それを受け止めて愛する男子も」
「宇田くん」
真剣な表情でまっすぐに見つめられ、心臓が破裂しそうなほど早鐘をうち、頬が熱くなる。
恥ずかしさに耐えられなくなり、私は視線を外した。
「こっち、向いてよ」
顎をクイっと持たれ宇田君の方に顔を向けさせられた。
宇田君の瞳は、すいこまれそうなほど漆黒だった。
と、だんだんと整った彼の顔が徐々に近づいてくる。
こ、これはもしや、もしや、もしかしてー!!
私はぎゅっと目をつぶった。
「ちょっと、文香、文香!」
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