恋文

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その声でハッと現実に引き戻り、そちらを見ると親友の中原美雨(なかはらみう)ちゃんが怪訝そうに私を見ていた。 「ちょっと文香、大丈夫?ニヤニヤしたり、目をつぶったり・・・」 今は昼休みで、ちょうど二人で教室で机を向かい合わせにし、お弁当を食べていた。 シマッタ、昨日の続きを、勝手に妄想してしまった。 「ごめん、ちょっと、新作の小説の構想を考えてただけ」 「ならいいけど。そう言えば、書いてた小説出来上がった?」 ドキリとした。 いつもは真っ先に美雨ちゃんに読んでもらっていた。 けど、昨日、宇田くんに渡してしまったのだ。 「えっと、まだ、なんだー」 正直に言えばいいのに、とっさにつかなくていい嘘をついてしまった。 「そっか。また出来たら読ませてね」 「うん」 とっさとはいえ嘘をついてしまい心がチクリと痛んだ。
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