2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
その声でハッと現実に引き戻り、そちらを見ると親友の中原美雨ちゃんが怪訝そうに私を見ていた。
「ちょっと文香、大丈夫?ニヤニヤしたり、目をつぶったり・・・」
今は昼休みで、ちょうど二人で教室で机を向かい合わせにし、お弁当を食べていた。
シマッタ、昨日の続きを、勝手に妄想してしまった。
「ごめん、ちょっと、新作の小説の構想を考えてただけ」
「ならいいけど。そう言えば、書いてた小説出来上がった?」
ドキリとした。
いつもは真っ先に美雨ちゃんに読んでもらっていた。
けど、昨日、宇田くんに渡してしまったのだ。
「えっと、まだ、なんだー」
正直に言えばいいのに、とっさにつかなくていい嘘をついてしまった。
「そっか。また出来たら読ませてね」
「うん」
とっさとはいえ嘘をついてしまい心がチクリと痛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!