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黒い翼をばさっと広げて飛び上がり、木の枝に止まるフリンピーノ。ここ最近、彼はいつ見ても忙しなく飛び回っているような気がする。
「そんなに飛び回って疲れないのか?」
「疲れはするけど…、非力なボクに出来る事はこれくらいだから!」
健気に笑うフリンピーノ。何だかんだで彼も俺と同じくテオリア生まれの魔族だ。小さい頃に出会って以来、今日まで腐れ縁が続いている。
「えっと…、ついて来ちゃっていいのかい?」
「暇だからな。」
事実。暇だった。俺は空を滑空するフリンピーノと共に山脈の森林地帯を抜け、少し離れた位置で陣を組む第二部隊の元へと向かう。道中では、退屈しのぎに他愛もない世間話をした。それから、互いに好きな本の事を語り合った。だが結局どちらもアレクスダスカルの物語が一番だという事で結論が出てしまい、この話はあっさりと終わってしまった。
「……地震?」
大地が揺れ動く。いち早く反応したのはフリンピーノだった。
バゴォォォォン!!
地鳴りに続いて発射される炎術砲【ブラスター】の音。方角は第一部隊のある来た道の方だ。
「まさか俺の居ない間に戦闘が始まったのか…!?」
「急いで戻ろう!」
俺たちは急いだ。何も知らないまま、何の備えもなく。
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