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凄惨な光景だった。木々は燃え上がり、辺りには幾つもの死体が散らばっている。ほんの数十分だ。ほんの数十分離れただけで、俺の率いた第一部隊の半数近くが壊滅した。
「アルケイド…!あれ!!」
フリンピーノの目線の先を見る。するとそこには巨腕を振るい、人間たちを蹴散らす三体の巨大なゴーレムの姿があった。ゴーレムと言っても土術で生成出来るような土くれ同然の代物じゃない。あれは一から鍛造された鎧の類だ。鋼鉄鎧に騎乗した魔族が、腕に仕込まれた小型のブラスターを連射して人間たちを焼き殺している。
「あら、珍しい。テオリア軍の魔族ですわ。」
「同胞を殺してしまうのは惜しいですが、これもデータ収集の為です。」
「そうは言っても、姉様方は単にヒトを殺したいだけでしょう?」
三体の鋼鉄鎧が振り向き、頭部の赤い隻眼が一斉に俺を見る。鎧の反響音と共に聞こえてくる声は三人とも女性のものだ。
「…フリンピーノ!!第二部隊を撤退させろ!奇襲は失敗だ!」
「分かった!けどアルケイドは!?」
「全員が逃げ切るまで足止めする…!!いちいち心配して立ち止まるなよ!!」
「……もちろん!!」
翼を強く羽搏かせ、その場から高く飛び上がるフリンピーノ。
「逃がしませんわ。」
飛び立つ彼に狙いを定めようとする鋼鉄鎧の腕。しかし腕の動作は重く、はるか上空へと飛び去るフリンピーノを狙う事が出来ない。
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