第一話 現世再誕……?

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「この4か月間、悪魔との戦いで崩れた建物を建て直したり、現実世界でのルールを異世界の住人に教えたりして……ようやく先月末から本格的な受け入れが始まったところだ」 「とりあえず、この街に何が起きたのかこれで分かってもらえたかな?」 生徒たちの多くはこくこくと頷いていた。説明には自信が無かったが、理解してくれたのなら何よりだ。ふーっと軽く息を吐いた兵藤はもっと詳しい説明に移ろうとしたが、一番前の席に座る、眼鏡をかけた如何にも真面目そうな生徒が手を挙げた。 「質問なのですが、異世界から神沼市に来た神様はどんな方なのでしょうか?」 兵藤は質問を聞きながらうんうんと相槌を打った。彼の質問はもっともなものだ。宗教観の緩い日本人にとって、ただ一言で神と言われてもどんなものか分からないのも当然だろう。神道の神なのかギリシャ神話の神なのか、あるいはーーー。 いい質問だ、と返しつつ兵藤は後でするはずだった説明を前倒しにして話し始める。 「……まず、異世界に置ける神というのは一柱だけじゃない。現実世界と一緒で、複数の種族や民族が生活する異世界では、神や悪魔は民族ごとの伝説一つ一つに存在するんだ」     
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