第一話 現世再誕……?

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 口と一緒に手を動かしながら、兵藤は半分ほど埋まった黒板の残りに大きく三角形を描き、横線を2つ引いた。こうしてできた三つに分けられた三角形に、下から動物、人間、そして神と書き込んだ。 「まず……ここに書いた神や悪魔、それに魔獣と呼ばれる力を持った獣を『高位存在』と僕たちは呼んでいる。この『高位存在』が異世界から現実世界へ移動しようとする時、一種のフィルターを通る必要があるんだ。このフィルターにより、『高位存在』は異世界での特性や能力から、現実世界での各地の伝説に残る存在として役割を与えられる……これを僕たちは『固定顕現』と呼んでいる」 「例えば異世界で太陽神とされた神様なら、この世界では神道の天照、ギリシャ神話のアポロン、北欧神話のバルドル、エジプト神話のホルスなど……現実世界での太陽神として現れるってことだな」  質問をした生徒は理解しきれてないのか、ぽかんと口を開けたままだった。いきなり高位存在だの固定顕現だの、専門用語を使ったのがまずかったようだ。とりあえず、また後で詳しく説明すると伝えながら、兵藤は他に質問する生徒がいないか探す。他の生徒も説明を理解しきっていないためか他に手を挙げる生徒はいなかった。 「それじゃあ、次は……」     
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