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「心配するな。沙代里ちゃんは絶対見つける。だから、ついなのことよろしくな。田代ちゃんにもそう言っててくれ」
次郎は一瞬不安そうに目を伏せたが、すぐに兵藤に向き直り力強く頷いた。その後彼は新崎先生に促され席へ座らされた。それと同時に授業開始のチャイムが鳴る。生徒が全員席についているのを確認した新崎先生は兵藤に説明を譲ろうとした……その時、ガララッと音がして教室の扉が開いた。開けたのは外で待機していたサジェで、彼女は堂々とした足取りで兵藤の方へ向かって来た。
「嘘、あれエルフ……?」
「すげぇ、初めて見た」
「キレイ……」
堂々登場した異世界の住人に生徒たちは興味津々なようだ。そんな彼らの好奇心に満ちた視線にも彼女は動じない。何を考えているのか分からない、張り付いたような表情に兵藤の背筋は凍りついた。
(アレ、何かやったっけ……?もしかして説明に時間がかかり過ぎだって怒ったのか?生徒たちの殆どは彼女が初めて見る異世界人だし、初対面の印象が悪いのは……!)
「す、すみませんでしたーーー!!」
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