第一話 現世再誕……?

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 目の前に迫ったサジェに兵藤は頭を下げることしか出来なかった。異世界から移住している数少ない住人である彼女を怒らせるのは絶対に避けねばならない。彼女が機嫌を損ない、それで異世界と神沼市の関係が悪化でもすれば……。冷や汗を浮かべた兵藤だったが、サジェはそんな彼の行動に疑問符を浮かべていた。 「……?」 「何故謝る、ケンサ。私は通報があったと知らせに来ただけだ」  通報と聞き、兵藤の眼が一気に鋭くなった。素早く荷物を纏め始めた兵藤に、新崎先生は戸惑いながら声を掛けた。 「あの、通報と言うことは説明はここで……?」 「ええ、すみません。残りの説明はまたの機会ということで……その代わり、最後に一つ」  荷物を纏め終え、兵藤は生徒たちに向き合い、手短に話し始めた。今まで説明してきた神沼市に何が起きたか、神とはどんな存在か。そして、それよりずっと身近に潜む危険について、警告も兼ねて話し始めたのだ。 「今、市内の異世界領域は警察や神様たちに監視してもらっている。だが、人目を避けて潜伏し続ける悪魔や、監視を掻い潜り侵入した魔獣が市内にはいる。そいつらに関わったり、興味本位で近づくのは絶対にやめてくれ」 「普通の人間は悪魔や魔獣には絶対に敵わない。だからこそ、俺たち『特別委員』がいるんだ。そういうのの相手については、任せてくれ。連絡先は…………」     
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