第一話 現世再誕……?

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 小脇に抱えられたままだった彼は着地の衝撃をモロに背骨に受けた。テレビで見たプロレスラーはこんな思いをしてるのかとか、痛みと裏腹に彼の頭には呑気なことばかり浮かんでくる。よくテレビで芸人がプロレス技を掛けられ痛がっているが、彼らもこんな痛みを味わっているに違いない。だが彼らはそれが仕事だ。俺は仕事じゃない。だから同情はしなかった。 「そんなところで寝ると服が汚れるぞ」 「誰のせいだっ!!」  ツッコミながら立ち上がった兵藤は、落ち着いて服に付いた砂埃を払い落とした。遠くの方では体育の授業なのか、体操服姿の生徒たちが遠巻きにこちらを見つめている。まあ、あんな移動をしていれば気にならないほうがおかしいが……。 「前よりは太ったなケンサ。だが、エルフの森にいる動物はまだ重い。軽すぎると訓練にならないから、もっと太れ」 「……サルトビって言ったか。森の中を飛び交い獲物を運ぶエルフの移動方法……地面に降りないのは足跡を付けないためだからって、わざわざそれをこっちの世界でやる意味あるのか……?」 「走るより速いからな。文句があるなら早めに行動することだ」  それを言われては兵藤は何も言えなかった。あらかた砂を落とし終えた彼は荷物を拾いさっさと高校の玄関へ向かい、サジェもそれに続く。 「……俺以外にやったら問題だからな」     
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