第一話 現世再誕……?

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「だから、復興課の僕が君たちに教えるべきだと思ったことは教える。もしもの時は命に代えても守る。さっき復興課と言ったけど、役所勤めの公務員だからそういうことをやろうとしているんじゃない。それが知識と権力を持つ大人がやらなければならない義務だと思っているからだ」  いいかな?と確認した後、教室中を見回す。ありがたいことに寝ている生徒はいないようだった。皆真剣さの度合いは違えど、こちらの話をちゃんと聞いてくれている。ただ一人、窓際に座る一人の女子生徒は、兵藤と目を合わすのを嫌がるようにぷいっと窓の方へ顔を向けた。少しだけ彼女に視線を向けていた兵藤だったが、すぐに手元へ視線を戻し資料を確認しながら説明を続けていった。 「じゃあ、前置きは終わりとして……約四か月前の年末年始、この街に何が起きたのか説明しようか。プリントは全員あるかな?」  プリントが全員に配られていることを確認した兵藤は、手元の資料を見ながら黒板にチョークで時系列順に神沼市に起きた異変を書き記していく。初めの日付は去年の12月31日だ。 「最初に異変が起きたのは12月31日の午後五時。大晦日でにぎわうこの街を推定震度5強の揺れが襲った。5強と言えば物に掴まらないと立ってられないくらいだし、皆も覚えてると思う。これだけなら単なる地震だけど、異変はこの直後に起こった」     
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