かけがえのない宝物

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「歩夢、朝ごはん何食べたい?」 「んーっとねぇ…ホットケーキ!」 「分かった。パパが作ってあげるからママはもう少し寝かせてあげよっか」 「うんっ!」 パタパタと足音を立てながらあっくんが寝室から出て行くと、たっくんは長い指で私の髪をサラリと梳かす。優しく、愛おしそうに。 「朱里、ゆっくり寝てていいからね」 「いつもごめんね…ありがとう」 「全然いいよ。俺も休みの日は歩夢とたくさん関わりたいし」 世の中のお父さん達は休みの日くらいゆっくり寝たい、というのが普通だと思ってたのに。 たっくんはいつだって私より早く起きてあっくんとの時間を大切にしてくれる。 子供というのは休みの日ほど早く起きるもの。 それは、うちも例外ではなく当てはまる。 休日は必ず明け方に目を覚ますあっくんに起こされ、こうやってたっくんに甘やかされて二度寝して。 そうして再び目を覚ますと、 「おはよう、朱里。ホットケーキ食べる?」 「ママ!おはよー。あのね、パパのホットケーキすっごい美味しいよ!」 こうやって大好きな二人が笑顔をくれるんだ。 これが、私達家族の休日の朝の光景。
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