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掃除の時間。
今日も、君の机が並ぶ列へと、足早に向かう。
この関係に終止符を。
あれは、中学2年生のときだった。
1年生の2学期に転校してきた彼、結緑まあるのことをあたしは「仲のいい男友だち」ぐらいに思っていた。
というより、そのとき既に気付いていた恋心を誤魔化していただけなのだと思う。
名前が「結緑まある」と「桜井ふわり」というキラキラネームのため、転校してきた初日から、それはそれは馬が合った。
「お互い大変だね、変わった名前だと」
なんて、苦笑を浮かべる彼。
まあるという名前は、いろんな由来があるらしい。
ただ、彼があたしに唯一教えてくれた由来は「俺の家、いわゆる転勤族だから、他人に印象を与える名前にしたかったらしいよ。奇抜だけどね。嫌いじゃないかな。親も親なら子も子だな!」と笑いながら言ったそれだった。
彼と会うまでは男子に名前をからかわれたりして、それに便乗するように女子にもさけられていたから、自分の名前が嫌いだった。
でも、彼と出会ってからは、同じ気持ちが共有できる分、いろんな見方ができるようになった。
いつしか、自分の名前が好きになっていた。
隣の席になれば互いの見方はどんどんよくなっていった。
好きな漫画や芸能人も一緒だったし、映画やドラマも同じものを見ていることが多かった。
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