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まん丸の目に形の良い唇。
中学2年生にして身長167cmの彼は、大きい体格のせいか、どこか抜けていてマイペースだ。
給食の時間は、みんなが食べ終わってもまだ1人で口をもごもご動かしながら幸せそうに食べている。
忘れ物はよくするし、物をよく落とす。
部活帰りに教室に忘れた数学の教科書を取りに戻ると、まあるくんも忘れた国語の教科書を取りに戻ってきた。
「まあるくん、今日国語は宿題出てないよ。っていうか、国語の時間ないのになんで教科書持ってるの?」
「…うっそ、あると思って戻ってきたのに、俺アホすぎる…」
彼はやっぱりどこか抜けている。
まあ、そんなところも可愛いんだけれども。
たとえあたしがまあるくんのことを好きだと認めたって叶うわけはなかったし、ここまで友だちとして仲良くなってしまったのだから、今更引くことも押すことも難しかった。
大体、昨日まで「まあるくんのバカ! もう知らない! ふざけんなー! ハゲ! 音痴!」「ハゲてない! ふっさふさじゃ!」「それ以外は認めるんだ!?」なんて冗談を飛ばしていた友だちがいきなり「一緒に帰ろ?」なんて可愛いことを言えるはずもなく、周りの目だって気になるし、先生の目だって気になる。
うちの担任は色恋沙汰になると過剰に反応する。
それはもうゲスの極みのように、くっつけさせようともする。
だから、先生にバレてからかわれないように付き合っている生徒たちが存在することも事実だ。
あたしとまあるくんだって別に付き合っていたわけじゃないのに先生に目をつけられ、何度も否定した。
そんなことがあったから尚更恋心を誤魔化すほかなく、今日もあたしは偽りの言葉で彼の隣にいる。
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