境界の神様

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「まず、相手の身体的弱点を見つけてごらん」  途端に声までやさしくなった。 「それから、その身体的弱点を可能な限り理不尽かつ不条理な言葉に差し替え、あたかもそれが真実であるかのように口に出すんだ」  口に次いで目が笑った。  いや。こういう笑い方は、微笑む、というのかもしれない。 「やってごらん」  やさしい声に促されて、少女はじっと生き物を見た。長いこと黙って見続けていたが、生き物はぴくりとも動かず少女のするようにさせていた。
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