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え……殺した? 俺を?
体を動かしてみるが不自由なく動かせる。
念のため足を見るが、しっかりとついていた。
「正確に言うとあなたをこちらの世界に転生させるために、事故死させました」
しばらく俺の行動を見守っていた女神が、ゆっくりと話し始める。
「異世界転生させるために、事故死に見せかけて殺したってことですか?」
「そうです、せめてもの償いとして事故前後の記憶を消して、痛みや苦しみなどが残らないようにしました」
これが現実の話とするなら、ラノベとか漫画とかでよくある異世界転生前に連れて来られる場所で、記憶が曖昧だったのは消されていたからか。
自分の置かれた状況が少しずつわかってきたところで、ある事に気が付く。
「どうしてくれるんですか!」
「本当にすみません。地球でのあなたのこれからの人生を奪ってしまい――」
「そんな事はどうだっていいんですよ! これから楽しみにしていた映画を見に行くところだったんですよ?! 制作決定からずっと楽しみにしていたのに! 本当にどうしてくれるんですか!」
新作ゲームの発売やアニメの放送が発表するたびに、その日までは死ねないって思ってたけど、今はそういうのもなく時期的には完璧だったけど、あの映画だけは……あれだけは見たかった!
「え、えっと……怒るところってそこなんですか……?」
女神が困った顔をしていた。
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