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「少し休んだ方がいいと思うの」
任されていたプロジェクトの会議に寝坊してしまった翌日。上司から掛けられたのは憐れむ視線と一発退場の言葉。会議は補佐に付いてくれていた山田くんがまとめてくれたおかけで問題もなく終わったらしい。
「分かりました」
失敗した私にはこの言葉を言う選択しか残されていなかった。
田舎の高校を卒業後、大学に入学しそこそこの成績で経済学部を卒業。「食べる事が好き」いう大雑把な理由で食品系の会社に入社して早六年。いつしか「田舎のコンビニやスーパーに私が開発した商品を並べたい」と思うようになり、我武者羅に仕事だけをしてきた。その結果同期の中でも出世頭だと言われ、ついに先日新商品の開発プロジェクトリーダーに就任。上手く行けば私の企画した商品が大手のコンビニやスーパーに並べる事の出来る、長年の夢が手の届く所まで来た矢先。
チームをまとめる為に何時なんでも残業し、不備が内容に細かくチェックを繰り返し、休みの日はコンビニやスーパーへ足を運んで新商品開発のヒントがないか探し回った。
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