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(本編「デュナミスの彼方へ」の前書き)
さて人生における最大の決断をすませ、恥ずかしながら懐かしき我が家に帰ってきたのだが、これが非常に有意義な帰国になることは、一ヶ月前の私は知るよしもなかった。
実に四ヶ月ぶりに日本の地を踏み、千葉にあるにもかかわらず「東京」国際空港とおおっぴらに嘘を付いている日本の玄関口に到着した私はその後すぐに最も日本らしい都市、「京都」へと足を運んだ。
別段最初から行くつもりはなかったのだが、知人友人が是非京都に来てみないかと言われたのがそもそものきっかけである。だから私の自発的な意思はここには介入していないことを先に断っておく。
その結果、私は何の期待もせずに京都に向かうことになった。
しかしその一切の希望を捨てたことで、皮肉にも私は京都の虜となってしまった。
ハモやそば、さらには日本風にアレンジされた洋食などは、日本に帰ったばかりの私の舌を非常に満足させた。
金閣寺は三島由紀夫が燃やしたからなどと言って(実際に彼は何一つ燃やしていないのだが、こう言った方が、彼の「尊厳」を高めるように思われる)大雨で観光客でひしめき合っていたにもかかわらず、私は大いに魅了された。
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