とあるメイドの暗躍(シンディ)

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 メイドの仕事はかなり忙しい。朝は早くから食堂の掃除をして、食事の準備を整える。  朝議を終えた人が出てきて、前院でそのままモーニングを食べるのを尻目に今度は会議室の掃除。城が政治の場へと変わるとようやく慌ただしく食事をして、次は客間の掃除だ。  その客間の中でも一角は特別な場所だ。国賓を泊めるその場所はより豪華で重厚で、メイドの中でも決まった人しか掃除ができない。  そこに一人客人が泊まっているのは、直ぐに分かった。メイドはそうした情報を持っている。未来の皇后が泊まっている。それは直ぐに分かった。  こっそりと庭へ出たデイジーの姿を確認して、チェルルは標的がその部屋に滞在しているのを知った。  背格好や様子からしてもそうだろう。何より側にルイーズが常についている。ハクインが負わせた傷から回復したらしい。  幸運と言うべきか、それほどに帝国の医療は優れているのか。おそらく後者だろう。  次にすべき事は簡単だ。チェルルはメイド長に直談判して、特別室の掃除を願い出た。一生城でメイドとして勤めたい事や熱意を伝えた。     
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