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「出来ている」
「よかろう。ダン、ジェームダルの者達と主なき騎士団を分離する。チェルルが死んだと聞いて、何が起こるか予想はできるか」
「そうだな……うちの愚弟とレーティスは慎重論だが、おそらくハクインは感情的だ。しかもチェルルが死んだと聞けばこっちに向かってくるかもしれねぇ。ハクインが来るとなれば、おそらくリオガンも一緒だ」
「ハクインに、リオガンか」
ファウストの中では、ハクインという青年は聞く分だけしか思い浮かばない。直接対峙した事はないのだ。
だが、リオガンという青年は分かる。東で素早い攻撃を繰り返していた、銀髪に青灰色の瞳の青年だ。
「チェルル、ハクイン、リオガンの三人は同じ教会で過ごし、ずっと一緒にいた仲だ。チェルルが兄貴分で、ハクインは何だかんだで慕ってたからな」
「お前達は違うのか?」
「あぁ、同じ町の出身だが家庭環境は違う。俺と弟は町の大店の息子、レーティスは町の管理貴族の息子、ベリアンスは町の警備をしていた騎士の息子だ」
クラウルの言葉に答えたダンは、少し懐かしい顔で腕を組んでいる。とても自然で、少し寂しげな。
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