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あの男は自分は仲間を捨て駒にするくせに、裏切られるのは嫌う。ハクインの行動が裏切りと映れば……そうじゃなくても何らかの理由で離脱を利用しようと思えば、その刃は…。
「シウス、小部隊を準備する」
「暗府を西に派遣する」
「元ノースフィリアの人間も連れて行け。奴等はハクインを知っている。オーギュストなら実力としても申し分ないだろう」
元ノースフィリアの兵達は、今や騎士団で伸び伸びと生活している。最初こそ卑屈さや肩身の狭さを感じたが、ハリーが中心となって周辺の者と飲みにつれて行ったり、事情をしるランバートやゼロス、コンラッドなども食事や飲みに誘った。そのおかげで、今ではいい顔で笑うようになっている。
中でもオーギュストは年齢的な事もあり、いつの間にか隊の相談役のような感じになっている。若い隊員からはその落ち着きが安定に繋がるのだろう。悩みを相談したり、寂しさを訴える者の背中を押したりしている。
「分かった、借りる。人が必要になる事もあるだろう、準備を頼む」
「分かった」
ルースが西と帝国の不和を狙うならその切っ掛けにデイジーを使おうと考えたのだろう。だが失敗した。西に拠点を置いたのなら、近くに奴等の主がいる。おそらく、デイジーの近辺…。
「どーして動かないんだろうね、あいつ。主がいて、攻め込みたいなら堂々動くでしょ」
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