【おまけ】黒猫を飼い始めました(ハムレット)

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 溜息をついて荷物を置いて、僕は近づく。こうして間近で見ると、この黒猫は綺麗な顔をしている。  最初は痛んでいた黒髪も、しっかりケアをすると艶やかになった。睫毛が長く、目が大きくて、顔はふっくらと柔らかく小ぶり。体は少し小さく細いけれど、筋肉がついていないわけじゃない。少年を残した愛らしい顔立ちだ。 「チェルル、起きて」  揺すってみるとむずがるみたいにする。僕はそれに溜息をつく。  この子、起きている。狸寝入りじゃなくて、寝たふり猫だ。 「黒猫くん、起きて」 「眠いよ先生」 「寝過ぎだよ」 「俺、猫なんでしょ?」  まったく、あー言えばこー言う。  僕は腰に手を当ててムッとしてしまう。すると、チェルルの膝の上で丸くなって寝ていたニアまで顔を上げて、大きな欠伸を一つした。 「夜寝れてる?」 「寝てるよ。ここでの昼寝も、十分くらいだよ」 「寝れるようになったね」 「うん、気持ちいいんだ」  最初の頃はあまり眠れないみたいだった。どうやって寝ていたか聞いたら、睡眠効果のあるお茶を飲んだりしていたらしい。癖になってるじゃん、バカ。  これも体に蓄積された毒のせいだったのかもしれない。毒が抜け始めたら次第に眠れるようになっていった。  だからって、寝過ぎだけどね。 「ほら、起きなよ」     
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