ライバルはすぐ隣

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ライバルはすぐ隣

高校生と言えば、何と言っても高校デビュー。彼女を作ろうと誰よりも意気込んでいた、九重美輝斗15歳の春。 偏差値65かつ、3倍の倍率があった高校の受験戦争に勝ち抜いた美輝斗は、中学生の時の真面目キャラを捨てるべく、メガネをコンタクトに変え、ネットで調べたワックスを使ったヘアスタイルに、緩めの制服の着こなしでモテる気満々だった。 「よし、できた!」 満足の行く仕上がりである。眼鏡からコンタクトに変えただけで世界が全く違って見えた。クラスの地味グループにいた頃の少し引っ込み思案な自分が抹殺された様に。 母親には登校初日からそんな慣れない格好で行くのはやめなさいと忠告を受けたが、そんなのは聞き流して、新しい自分に胸を張って高校デビューした。 偏差値が悪くないだけあって、いわゆるヤンキーの様な柄の悪い生徒は全く見当たらない。美輝斗のように高校デビューした仲間は沢山いて、女子も含め皆恋人を作りたげな雰囲気がクラスの中にあった。 クラスで初めてできた友達の古谷耀司も元はガリ勉だったらしいが、美輝斗のように高校デビューし、過去の面影はほとんどない。 「なぁ、美輝斗は彼女いたことある?」 「な、ない…。お前は?」     
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