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奈緒美
奈緒美、君と出会ったのは、雨の日の人気のない散歩道だったね。
実は、僕は君のこと、前から知っていたけど、君は僕を知らなかったよね。
あの日は多少、強引で申し訳なかった。
背後から君を捕まえたが、突然のことに君はびっくりした表情をして、手足をばたつかせていた。
僕は、誰にも見られていないことを確認して、手際よく君を車に押し込み、僕の部屋に連れ込んだ。
君は最初、緊張して、泣き叫んでいたけど、時が解決してくれたよね、僕らは恋人同士のようになった。
まるでギリシャの昔話の様に、もともと二人で一つだったのに、半分に切り分けられ、離されて、互いを探し求めていた二人が、やっと一緒になれたような。
この閉ざされた部屋は、二人にとっての宇宙で、完結していた。
そして、、、
君がこの部屋から出ることは永遠になかったのだ。
ずっと部屋に君を閉じ込めておくのは体に良くないと思ったけど、許してくれ、仕方がなかったのだ。
君に必要なものは、ネット通販で全て買った。便利な時代になったよね。
君に気に入られようと、余計なものもたくさん買ったな。
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