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普通に結婚し普通の主婦になり普通に生きるんだと思っていた。そう、夫の正体を知るまでは。夫は死神だった。
夫は甘く囁く。お前は誰よりも美しくなれると。
アイドルやモデルに憧れていた。憧れていただけだった。
ククク、なんて、お前は醜いんだ?死神が・・・夫が笑う。
美しくなりたかった私は絶望に暮れた。
何としてでも美しくならなければいけなかった。
テレビの中では今日も美しい存在達が演技し歌い踊っている。
夢から覚めると鏡の前には、いつも醜い自分がいた。
私は、美しくなる事を強く望み、死神の夫は私の魂を欲しがった。
欲望が強いほど魂は輝きを増す。
美への執念と渇望。
そう、私は、美と引き換えに命を手放したのだ。それが私の死んだ理由。
そして、私は、二次元の世界で生まれ変わった。
キャラクターとしてヒロインとして永遠の美を手にしたのである。
だが、中身は空っぽの人形だった。
ククク・・・と、また夫が喉を鳴らして笑う。その声を魂の抜殻となった私は、どこか遠くで聞いていた。
コレクションが、また増えたと死神は嬉々とした。
さて、次の獲物を探さなくてはな。そう言うと死神は闇の中へ消えて行った。
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