『果て無き銀翼』

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『果て無き銀翼』

「お待ちなさい!!」 黄昏時に空を舞う天使と見紛う白き姿、それは『果て無き銀翼』の二つ名を持つ者… 名を『ウイング・オブ・エターナル』と言い、この界隈では知らぬものが居ない最強の魔法少女だ。 水色のツインテールをなびかせ高速で飛翔する彼女の前方には、黒く巨大な羽虫が飛んでいる、いや正確には羽虫の様な姿をした何かだ、彼女は先程からその異形の者を追って飛行していたのだ。 「いつまで逃げるつもりかしら?いい加減追いかけっこは終わりにしましょう…」 背中から生えている銀色の翼を羽ばたかせたまま右手に携えたマジカルステッキを天に掲げる。 「風よ!猛々しき天空の王者よ!邪悪なる彼の者に轟く鉄槌を下し給え!」 呪文を唱えステッキの中央部分にある宝石にカードらしき物をかざす。 『カキーン!ハイリマシタ~!』 マジカルステッキから声が聞こえる。 「受けなさい!ウインズオブサンダー!!」 その刹那、ステッキの先端が眩い光を放つと、上空から凄まじい雷が発生しその怪物を撃つ! ズガアアアアアアン!!!!! 「グエエエエエエエッ!!!」 断末魔を上げ消し炭に変わったそれはバラバラになり、地上に到達する前に消滅した。 「ふう…今日のカキン虫は逃げ足だけは速かったわね…」 ため息を吐き安堵の表情を見せる魔法少女『果て無き銀翼(ウイング・オブ・エターナル)』。 「流石エターナル!見事なお手並みでありんす」 エターナルの傍らには羽の生えた白いリスの様な生き物が飛んでいる。 「ねえユッキー、今日はいくら掛ったの?」 エターナルはその白リス、ユッキーにそう尋ねた。 「まずは飛行形態変身に200イェン、飛行呪文『スカイハイ』30分使用で300イェン、雷撃呪文『ウインズオブサンダー』一回使用で1500イェン、合計2000イェンでありんす」 「え~?あの雷撃ってそんなにするの~?もっと安い呪文使えば良かった~!」 物凄く落胆するエターナル。 「でも低レベルの呪文を乱発してしまったらもっとお金が掛かったかもしれないでありんすよ?、1イェンは日本円にして1円、等価でありんすから」 白リスユッキーは電卓片手にそう言った。 「うう…どうして私がこんな目に…」 目じりには微かに涙がにじむ、だって女の子なんだもん… それは遡る事一年前…
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