優しい嘘

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傷付いた静に、と、重宝を与えたばかりであった。それが何かの意味すら成さぬ事を知りながら。結局は、彼女からすれば自分達は憎い男の身内でしかないのだから。 「あなたの優しい嘘で、少しでも… ()の方の心が安らかになれば。」 呟く声は、闇夜に沈んでいった。蝋燭の灯だけが、静寂の中に揺れていた。
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