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一瞬、大旱魃に襲われ、息も絶え絶え、苦肉の策を労している事を忘れさせるほどには、彼女達は気高く美しかった。 だが。それでも。 彼女達が銘々に心を込め龍神への舞を舞うも、神泉苑の底深くには届くことは無いのか。 龍神が動く気配は露とも感じられぬ時がひたすらに続く。 空は今日も美しく晴れ渡っている。人々の渇きや絶望など、素知らぬ顔で在り続ける。 それはそれは青く、何処までも澄んだ空が。 五人、十人。ひらりひらりと美しい蝶が舞うように。 五十人、八十人… はらり、はらりと花びらが風に踊るように、華やかに。 次々に、我こそは、と、白拍子達が魂を込めて力の限りを尽くし舞うも、変化の兆しさえ見えぬ。 九十人、九十五人、そして九十九人。煌びやかな舞でさえ、雨雲一つ姿を見せぬまま演目は終わっていく。 そうして最後の一人を残すばかり。 雨雲の一つでも現れてくれたら。 誰もが失意の底に居た。最後に残った、百人目の白拍子、彼女が流れるような所作で舞台に進み出るのを、疲れ切った眼差しが追う。 憔悴し切った人々はもう、諦めてさえ居たのかもしれない。 どんな手段を講じても、雨など降るはずも無いと。きっとこのまま、涸れて、果てていくだけなのだと。     
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