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もう、意識を保つのも限界だ。
けれど、微かに残る意識に縋り、私は先程の衝撃と向き合う。
私が死ぬ理由。
私が死んだ理由。
それはあまりにも予想外で、滑稽な理由。
聞けば誰しもが驚き、呆れるだろう。「そんな理由で死ぬ訳が無い」と信じてくれないかもしれない。
けれど、その理由で私は死んだのだ。本人が言うのだから間違い無いだろう。
きっと私の死んだ理由は誰にもわからない。気付かれない。
原因不明のまま、変死扱い。きっとテレビドラマで見た様に解剖とかされるのだろう。それでも原因不明。病気でも何でもないのだから当然だと思う。
こんな理由で死んだなんて、誰も思わないだろうから。
自分が何故、死ななければならないのか。こんな理由でなんて不条理で理不尽だと思うけれど、自分のせいなら仕方ないと諦めるしかない。
少なくとも、理由がわからないまま死んでいくよりは断然いい。
ずっと、ずっと、心の奥にあったモノ。その正体を知った事に私は満足する。それこそ思い残す事が何もかも全て無くなってしまうほどに。
さようなら、アナタ。
私は残った意識を全て手放す。
最期にぽつりと呟く自分の声が聞こえた様な気がした。
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