三、ジャンピングアタック(空振り

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「お蕎麦、どうしようかな」 友達と言う友達がいない。 ここは地元だから、地元の同級生は私の父親がうんこ野郎だったのを知ってるし、私の凶暴性も知っている。 ので、同級生の友人は全くできないし、私もいらなかった。 だからお蕎麦が沢山あっても、業平がいないなら誰にあげていいのかわからないのだ。 「社長、今日の夕飯なんですか?」 「お昼ご飯食べながら夜ご飯って、満腹だから想像できなくなるよねー」 社長はしわしわの手で頬を包み込むと、考え出した。 「さっぱりしていて、あっさりしていて、美味しいものが食べたい」 「おおお。私、それを業平に言われたらプロレス技をかけてしまいそうだ」 具体的な名前は言わないくせに注文は多いなんて、この野郎って気持ちになる。 「逆に麻琴ちゃんは一人の時は何を食べてるの?」 「え……死なない程度の最低限度のカロリーを摂取できるならなんでも」 社長が沈黙する。これは、まずかったか。 「今日、婚約者くんがいないなら、焼き肉に行きましょう」 「え、社長のおごりでですか!」 「もちろんです。事務の子、皆呼びましょう!」 「やったーっ」 貧乏自慢は引かれるから言わないようにしていたけど、ぽろっとこぼしてしまってラッキーだった。 良いことが続くといいな。 業平が上手くいきますように。
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