三、ジャンピングアタック(空振り

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ジム……? 「お前さん、朝帰りになるかもってジムかよ」 驚いた私に対し、業平から返事はない。 くぐもった悩まし気な声だけが響いている。 肉。さよなら、私の初恋の肉。 「社長。婚約者が、手籠めにされてるようなので、行きます」 「ええ、大丈夫?」 「だ、だ、い“じょヴでずずずずずず!」 「顔が大丈夫じゃない」 社長に何度も頭をさげ、30分もいなかった肉屋にさよならを告げると、私は駅まで走った。 業平は、男は抱いたことないって言っていたっけ? 直前に怖気ついて、逆に抱かれているのかもしれない。 業平が危ない。 私はただひたすらに、身体にまとわりつく肉を追い払いながら、ジムへと向かった。 高級ホテルの道路挟んで前に、ジムがあるのはいかがなものか。 外国人の綺麗な女性が、腹筋をちらつかせながら歩いている大きな看板の下、一階は筋肉トレーニング、二階はプールやヨガ、など。 業平みたいな香水のいい匂いではなく、なんとなく暑苦しそうな匂いがする。 「た、頼もう!」
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