三、ジャンピングアタック(空振り

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「人が嫌がることをしてはいけませんって、小学生でもわかってるよね。これって、偽善の押し付けよね。業平がジョージさんに嫌われたくなくて我慢しちゃってるのも気づかないほど、押し付けてるよね」 「ああん。麻琴ちゃん……私」 「可哀そうに。ほれ、立って。歩ける? あーゆう系は駄目よ。恋人が無理に合わせてるのに気づかず振り回してくる。駄目よ、駄目」 肩に腕を回して立ち上がる。重いけれど、なんとか業平を抱えて立ち上がれた。 肉のパワーだとしたら感謝だ。 ジョージさんに嫌われたくなくて、必死でジムで頑張っただろうに、途中から限界なのに気づいてもらえず此処までボロボロになって、本当に可哀そうだ。 恋愛って、見ているこっちは愚かで呆れてしまう。 けど、本人はこんなになりながらも真剣に頑張っているんだろうね。 「麻琴ちゃん……ごめんね」 「肉のことなら許さない」 「いや、ふふふ。ごめんなさい」 意識がはっきりしたのか、急に軽くなった。 「麻琴ちゃんが来てくれるかなって、自分をギリギリまで追い詰めてみたの」 偉そうに言うものの、足はまだ生まれたての小鹿のようにがくがくしていた。 「私の狙いは、これだったのよ」 「……」 とりあえす、弱ってる業平に今は飛び蹴りしない。 けど、元気になったら蹴ろうと思った。
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