四、休憩タイム

3/30
341人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
化粧をしていない業平は、恥ずかしいのか大きなサングラスで顔をかくしている。 けど、黒のロングのジャケットとどこで買ったのか、バイソンガラのジーンズ。  スタイルがいいから着こなしてるけど、モデルみたいな服装に悪目立ちしている。 「うわあ、虹村社長、格好いいですね。モデルみたい」 「いやあん。褒めちゃう? 褒めちゃうの? 嬉しい」 るんるんと嬉しそうな業平に、当然私はチョップした。 「あんたね、あんなに襲われてるような電話しておいて、なんで普通に話してるの」 「丞爾くんは更衣室で謝ってくれたのよ。それに私のためだったからね」  ついてきて、と言われ、私は二人の一歩後ろを歩く。 筋肉マッチョの長身と、モデル体型の細身のイケメン。 いい絵になる。二人のせいで貴重な焼肉の時間を奪われたのは腹立たしいけど、業平の幸せそうな顔を後ろから見ていたら、何も言えなくなる。 二人が幸せなら、私はもうそれでいいんだよね。 「ほら、着いたわよ」 私たちは、大理石の長い廊下をひたすら歩きエレベーターに乗り込み、クラシックホテル、グランツェのスイートルームにやってきた。 「なんか……めっちゃ高級そうなホテルっすけど」 「けど、業平の家見てるから、驚かないよね」
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!