プロローグ

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『男のケツばかり追いかけて、結婚しない』と。 はっきりいって、業平がバイでも結婚しないでも、それは本人の自由だ。 親がしゃしゃりでるな、好きに生きさせろ、と思う。 『麻琴ちゃん、結婚してくれたらこの家、好きに使っていいから』 なるほど。恋愛しなくて家が手に入る。 大事な幼馴染だが、背に腹は代えられない。 なので、仕方なく泣く泣く、プロレス技をかけている始末だった。 「うそよ! ひどいわ、痛いわ」 「泣くなよ。あんたが親にバイだって隠してのらりくらりすれば良かったんじゃん」 「だって、真実の愛に気づいたんだもの。彼が私の運命の相手なのよう」 しくしくと、レースのハンカチで涙を拭いている幼馴染の業平。 31歳にして化粧品会社の社長。蝶々のようなシルエットになる美しい付け睫毛が大ヒットし、そこそこ稼いでいる。メイクアップアーティストとして芸能人のメイクを担当していた繋がりもあり、芸能人が業平の化粧品を使ってくれているので、大人気で仕事も安定しているらしい。 が、私は彼の仕事に興味はない。儲かっているならそれはそれでいい。
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