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そのとき、ゴーッという唸り音が大地の奥底から足下を伝わって聞こえてきた。
「雪崩だッ」
窓にしがみついて商社マンが叫んだ。四人は各々の姿勢で耳をすました。不気味な地鳴りは次第に近くなり、ますます大きくなろうとしていた。
「まさか」
「間違いない」
「どこだッ」
「分からないわよ」
「やばいぞ、南の沢じゃないのか」
「上だ、もっと上の方だ」
みな、口々に叫んだ。
「ここも危ないぞッ」
窓から三人を振り返って商社マンが叫んだ。
「ここは大丈夫」
医者が確信ありげにたしなめた。
「尾根筋にナダレはないものだ」
「そうとは限らないわよ!」
女監督が反論した。
「ナダレに弱い尾根だってあるわ。それにここは分岐点よ。上には沢がいくつかもあるわ」
その間にも地鳴りはだんだん大きくなり、山じゅうの空気と不気味に響きあって、四方八方から渦を巻くように小屋めがけて迫ってきた。
「真上だッ」
カメラマンが叫んだ。
「クソッ、やられるッ」
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