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大勢のひとが作業を続けていた。釘を打つ音、抜く音、ノコを引く音や削る音…子供のころによく聞いた普請の音が遠い世界から耳の奥に蘇る。ひとが集まればいろいろなことができるものだ。
ことの成り行きで長逗留を予測せざるを得なくなった全員は、登山用具、燃料、デポ品の残り、米、パン、味噌からクラッカー、のしズルメ、キャラメル、コーヒーにいたるまで、すべての食料品と用具を共同備品として提供することで合意した。生き延びるための連帯だった。
さしあたり十日間の逗留を見込み、ただちに三人の食燃料班を組織、献立と分配を一任した。
次に五名から成る行動隊を組織した。水の確保と屋根の雪下ろし、その他緊急時の援護活動がその任務だ。さらに三人の整備員を選び、小屋の保全を一任した。医療班はいうまでもなく医者が組織した。
医療班を除く選出は、すべてクジ引で行った。カメラマンは行動隊員のクジを引いた。医者を援護する看護人が二人、推薦で選ばれた。医療班はただちに全員から薬品を集め、詳細な目録を作成し、カメラマンの提供したアタックザックにそれらを収納した。ザックには緑色のマジックインクで大きく十字を書き、だれからもすぐ見える小屋中央の柱に釘を打って掛けた。
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