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「神木くん有名だったもの。コンクールの予選になんか顔だしたら、誰だって気になるよ。前回の優勝者だもの」
そうだった。四年前、最年少の神木が一位入賞を取っていった。前回の入賞者に方や予選落ち。そういうフィルターを通して遠巻きに見ていた奴もいたかもしれない。
「ずいぶん雰囲気が変わったって聞いたけど」
「そうかな。……そうかも」
確かに服装や髪形は変わった。
「何か、話した?」
「少しだけ。――なんか忙しそうだったよ」
すぐ帰られたことが悔やしくて、そう付け加える。
「そう、そっか。倫はその、大丈夫?」
細い腕が、薄手のジャケットに伸ばされる。
俺は声を潜める藤代の綺麗な額を見下ろした。
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