プロローグ

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プロローグ

  我Rチームの仕事は完全分業制だ。  依頼主が営業に連絡後、調査員が調査に入る。 詳しい内容がまとめられ、利益が見込めると判断されると、僕に仕事の依頼がくるシステムになっている。  依頼主と顔を会わせる事はない。 依頼主どころか、後ろにいる男の名前すら自分は知らない。 もちろん、彼の住所、電話番号も知らないし、僕のも知らせていない。 僕たちは仕事のみで繋がっている。  それでも、お互い絶対裏切らない信頼関係が構築されている。  今、喫茶店で背中合せで話をしているのは我チームの営業になる。 2人共、素知らぬ顔で雑誌や新聞を読んでいる“フリ”をしている。  「コインロッカーやトランクルームは、意外と人目に付き易いと思いませんか? 常連もいたり……」 「確かに。 自分も何度か同じ人と会って、時間をずらした事が……」 「僕としては、これからは最後の受け渡しだけに使いたいと思うんだ」 「では、依頼の連絡はどうするんですか? こだわっていた連絡方法を変更するんですか?」 「いや、それは譲れない。 間にワンクッション挟むってのはどう? 秘書とかマネージャー的な」 「この種の仕事を引き受ける人がいるんでしょうか? それに、そこからバレるリスクが……」
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