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そして決めた後、わざわざその男子高校生、幼馴染である一基の目の前まで行ってから笑った。
「朱音……笑いすぎだろ」
あからさまに不貞腐れた顔。
それがまた何とも壺に入り、朱音は危うく呼吸困難で花畑を見るところだった。
「一基ってば、私の事、殺す気?」
「言いがかりも甚だしいな」
「だって、マジで死ぬかと」
「一辺死ね。そしたら、ちょっとはマシになって生まれ変わって来るだろ」
「一基はその方が良い?」
朱音が一基の顔を覗き込むと、一基はフッと目を逸らした。
「私はこのままの方が良いって顔してる」
「急にお淑やかになったら気持ち悪いからな」
「はいはい、言ってなさい」
グギギ……と歯軋りの音。それは勝利者を称えるために敗者が奏でるメロディー。
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