ブランコ

　
　この幼馴染の分かりやすさはちょっと異常だ。
　ちょっと表情を見るだけで、考えてる事なんか全てわかっちゃうんだから。
　そう思い、朱音は小さく含み笑いをする。
「で、何でここでブランコなんか乗ってるの？」
「お前に関係ないだろ」
「だよね、ショックだよね。真紀ちゃんに彼氏いるなんてさ」
　ニヤニヤしながら朱音が言うと、一基の顔は苦虫を噛み潰したようになった。
「……つくづくクソみたいな性格をしておられる」
「それ、今更過ぎるから」
「そんなだから彼氏できないんだよ」
「そんなだからじゃないもん。私だって告白されたりするんだからね」
「え、断ってんの？」
「そうよ。どいつもこいつも私に相応しくないもん」
「偉いぞ。そうやって自主的に被害者を減らすなんて見上げた心がけだ」
「死んでしまえ」
　しばし沈黙。