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その村
ある日突然、その村の住人になった。
夢と希望が詰まっているかもしれない、
可能性を秘めた小さな村。
入口には二つの影が並んでいた。
子どもというには大きく、大人というには小さい。
「ついにここまで来たのね。ああ、ワクワクするわ」
期待に胸ふくらませて目を輝かせるリンの隣に、対照的な姿の少年がいた。
ぼんやりと門を見上げるその少年の名はティム。
力なく開いたティムの目は門の向こうの空を見つめていた。
ティムは興味がなかった。
「なあに、その顔。そんな気が進まないなら、どうして来たの」
リンは尋ねた。
ティムは聞こえないふりをしたようだった。
(まったくもう)
リンは肩をすくめた。
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