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だが、現代に帰った私を待っていたのは、またしても悲劇だ。
私は大勢の子どもの前で間宮を殺した。警察はかんたんに犯人をわりだしたらしい。
私は十年前、殺人犯として投獄されていた。
ここにいる私ではない。十年前のまだ何も知らない私がだ。タイムマシンを造る以前の。
私の自宅は無人になっていた。塀や家の壁には、人殺し、死ね、死刑などの落書きが書かれ、窓は割れていた。家のなかも荒らされていた。
ショックだったのは、愛花の遺影が仏壇に飾られていたことだ。おそらく、殺人犯の娘として過酷な日々をすごし、心労から病気になったのだろう。あるいは、自殺……。
ダメだった。
また、愛花を救えなかった。
愛花と間宮のあいだには見えない糸でもあるかのようだ。どちらかが死ねば、残されたもう一方も死んでしまうというのか?
いや、そんなはずはない。
私のやりかたが悪かっただけだ。
この方法ではいけなかったのだ。
では、どうすれば、よかったのか?
誰も傷つけず、愛花を守るためには?
間宮の独裁を、殺戮を阻止するためには?
私は考えた。
そして、決心した。
この方法しかない。
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