1人が本棚に入れています
本棚に追加
晴れた日には、君の好きな季節の花を買って。
家に帰って、逆さのてるてる坊主に祈ろう。
雨の日には、買った花を持って。
『あの場所』に行って祈ろう。
あの暗闇から僕を引っ張り出してくれた君へ。
あの時僕が壊してしまった本当の君へ。
過ぎた結果は覆らないことなんて知っている。
だけど……
だけど……
――梅雨時の小雨の中、一本の電柱の前にぽつりと佇む少年がいた。
彼を見るものは誰もいない。
少年はぬれることを拒まず、地べたに腰を下ろした。
そして、持ってきていたものを丁寧において頭を垂れた。
その様子は、さながら懺悔するようでもあった。
しばらく経って、少年は俯いたまま歩き出した。
淡い水色をしたシャツから雨水が滴り落ちる。
そんな彼の様子を……
誰も見るものはいないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!