設定と現実

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設定と現実

駅の近くにあると言った先生の家は、本当に歩いて10分ぐらいの場所にあった。 マンションが何棟か建っている中の、一番南にある物。 現在無職の先生が、何故こんなに立地のいい物件を持っているのか、気になって仕方がなかった。 「お前は婚活中のOLか!?」 先生からは明確な答えは、引き出せなかった。 後は自分で考えるしかない。 もしかして、実家がお金持ち? 若しくは女性に貢がせているとか? 「何、考えているんだよ。早く家の中に入れ。」 玄関で立ち止まっている私に、先生は呆れ顔で自分の家の中へと誘導。 そこは2LDKの小さな部屋で、リビングにはたくさんの紙が置いてあった。 「適当にそこら辺に座って。」 先生は歩く度に、その紙切れを拾い集めた。 そんなに大切な物なのか。 私は先生が拾いそこねた紙切れを、一枚だけ掴んだ。 「原稿用紙!?」 振り向いた先生は、私の手の中にある紙切れを、勢いよく奪った。
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