再会は本屋で

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「あった。」 手を伸ばし、数ページをパラパラと見てみる。 だがすぐに溜息をついて、また元の場所へと置きなおした。 ふと見ると、私と同じ歳くらいの人が数人、参考書等を選ぶ姿を見つけた。 彼らも私も、この1年で人生が決まると言っても、過言ではない。 少子化の煽りを受けて、少し前の時代に比べれば、大学への進学率は大幅に高くなった。 その代わり、大学へ行かなければ、まともな就職先は望めず、その後の人生まで、大きな影響を与えるようになった。 急に肩が重くなる。 この1年が大事だとわかっていても、急に逃げ出したくなるのはどうしてなんだろう。 そして思う。 人は長い人生の中で、“一生に一度”を、どれくらい経験するのだろう、と。
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