半透明の幽霊少女

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『私が何者なのか、調べて欲しい』…それが、幽霊が初対面の俺に頼んできたことだった。 『どうしてここにいるのか、自分でもわからないんだ』 『……知るかよ』 『このままじゃ、成仏もできなーい!君のまわりをずっと、ずーっと、つきまとうぞぉ!』 『うざっ!わかった、わかったから!』 『ほんとだな!?約束したからな!言質はとったぞ!』  以上のようなやり取りを経て、あまりのしつこさと、屋上という俺の憩いの場を占領されたままでいる居心地の悪さから、渋々引き受けたのだけど。  屋上に現れた女学生の幽霊なんて、たいていは飛び降り自殺でもしたと相場が決まっている。  そんなスキャンダルはどれだけ隠そうとしたところで、ヒソヒソと広まるものだ──と、思っていたのだが…!  一応、困っては見せたが、すぐに片がついて成仏させられる…はず、だったのに。 「……なんで出てこない…?」  生徒の実名だって、週刊誌やらネットの海やらじゃ、残っていてもおかしくないと思ったのに。  ネットもなかった時代の事件だったら、調べようもない。……当然、ユウの正体なんてわかるわけがない。  ていうか、なんでよその学校で幽霊やってるんだよ、アイツ。ここ、男子校だぞ?  そもそも、土台無理な話なのだ。  なぜ、自分の名前も覚えてられない忘れっぽい幽霊に、何のゆかりもない俺が協力してやらねばならない。  そんな義理はない。  ……でも。 『約束だからな!?』 「…………まあ、約束破って、祟られたらヤダしな…」  得体の知れない女に一度付き合ったのが運の尽き、乗りかかった船というやつだ。  明日、本人を問い詰めてみよう。  あくびをして、ベッドに入った。ユウに出会ってから頭を悩ませているからか、今日もぐっすり寝られそうだ。
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