0人が本棚に入れています
本棚に追加
「覚えてること?前も言わなかったっけ?」
「『なーんにも』が答えたことになると思ってるなら殴るぞ。……あれから時間も経つし、なんか思い出したことあるだろ」
「ははっ、なるほど?ま、打撃は通り抜けちゃうから物理ダメージ通りませんけど~。そうやって絞り込む作戦か~…」
どうでもいいけど、こいつの喋り方、いちいち勘に触るよな…協力させる気あるのか?
……舐めてるのか。
ユウは首を傾げて唸っていたが、向き直って言った。
「う~ん、さっぱり。でも、そこまで悪い思い出はなかったと思うよ……ほら?今覚えてないわけだし?未練とかなかったんじゃない?」
そういうだろうとは、思ってた……けど。
「……じゃあ」
「ん?」
「……なんでもない」
じゃあなんで、おまえは自殺なんかしてるんだよ。死んで尚も学校に留まって、いったい、何にとらわれているんだよ。
「えーっ、変なの~」
──それが、未練じゃないならなんなんだ?
おかしそうに、からかうような表情をした相手にそんなの、言えるわけがなかった。
「……わっかんねぇ!」
考えつくのは、いろいろあるけど、どれも突拍子のない、決定打に欠けるものばかり。
この学校の男にフラれたとか?…それで、当て付けに~とか。……B級映画かよ。笑うわ。
少ししか知らないけど、ユウはそういうことをするやつじゃない、と思う。
……いや。ユウにそういう相手がいたら嫌だなと思う、個人的に。
「あ…くそっ!」
本当に不覚だ。なんであんなやつのこと、気になってしまうんだろう。
相手は幽霊で、デリカシーがなくて、いちいち余計な一言をつけずにはいられない空気の読めないモノクロ女だぞ!?
……でも、この気持ちが認められないほど、高校生は子どもじゃなくて、なんか悔しくて、俺は頭をぐしゃぐしゃとかき回した。
最初のコメントを投稿しよう!